はじめに
国際取引や外貨資産を扱う企業や投資家にとって、為替リスクの管理は重要です。為替先物予約は将来の為替レートを固定することで、収益やコストを確定し、リスクを回避する手段です。
本記事では、基本的な仕組みから実務に役立つ知識として「ドル買い・円売り」と「ドル売り・円買い」の予約、さらに「為替先物予約と直物取引を組み合わせたネットの損益」について解説します。
為替先物予約の仕組み
為替先物予約は、以下の流れで行われます。
- 契約締結: 金融機関と契約を締結し、取引金額、通貨ペア、満期日を決定。
- 予約レートの決定: 現在のスポットレートを基に金利差や期間を考慮してレートが設定。
- 契約履行: 満期日に予約したレートで通貨の売買が行われます。
ドル買い・円売りの為替先物予約
ドル買い・円売りの為替先物予約は、将来ドルを購入する必要がある場合、事前にドルの調達コストを固定する手段です。
D社はA社からトウモロコシを輸入しています。D社は決済時に100万ドルを支払う必要があります。現在(取引時点)の為替レートは100円/ドルとします。しかし、将来(決済時)に為替レートが円安に進むかどうかは予測できないため、為替変動のリスクがあります。このリスクをヘッジするために活用される手段です。
仮に為替先物予約を行わず、3か月後の為替レートが100円/ドルから105円/ドル、または95円/ドルへ推移した場合、D社はどのような為替差損益を受けるでしょうか?
正解は、3か月後に105円/ドルに推移した場合、500万円の損失が発生し、95円/ドルに推移した場合は500万円の利益が生じます。
しかし、100円/ドルで為替予約を行っていた場合、500万円の利益を得る可能性は失われるものの、損失を被るリスクも回避できます。
つまり、輸入業を営むD社にとって、円安リスクをヘッジするためにドル買いの為替予約を行うことは有効な手段と言えます。
ドル売り・円買いの為替先物予約
ドル売り・円買いの為替先物予約は、将来ドルを売却し円を受け取る場合に、リスクを軽減する手段です。
D社はA社に対してお米を輸出しています。D社は輸出代金として3か月後に100万ドルを受け取る予定です。現在(取引時点)の為替レートは100円/ドルとします。しかし、将来(決済時)に為替レートが円高に進むかどうかは予測できないため、為替変動のリスクがあります。このリスクをヘッジするために活用される手段です。
仮に為替先物予約を行わず、3か月後の為替レートが100円/ドルから105円/ドル、または95円/ドルへ推移した場合、D社はどのような為替差損益を受けるでしょうか?
正解は、3か月後に105円/ドルに推移した場合、500万円の利益が発生し、95円/ドルに推移した場合は500万円の損失が生じます。
しかし、100円/ドルで為替予約を行っていた場合、500万円の利益を得る可能性は失われるものの、損失を被るリスクも回避できます。
つまり、輸出業を営むD社にとって、円高リスクをヘッジするためにドル売りの為替予約を行うことは有効な手段と言えます。
為替先物予約による損益と直物による損益を合わせたネットの損益
編集中
まとめ
為替先物予約は、ドル買い・円売りやドル売り・円買いを通じて為替リスクを管理し、安定したキャッシュフローを実現する有効な手段です。また、直物取引と併用することで、ネット損益を最小化し、相場変動の影響を効果的に排除できます。