はじめに
地上権は、他人の土地に建物や工作物を所有するために、その土地を使用する権利です。この権利を正式に設定するためには、地上権設定契約書が必要です。この契約書は、地上権者と土地所有者の間の権利と義務を明確にし、後のトラブルを防ぐために重要です。
地上権とは
地上権は、他人の土地に建物や工作物を所有するためにその土地を使用する権利であり、物権に分類されます。物権とは、特定の物に対する排他的な権利であり、譲渡や転貸が自由に行えます。
参考サイト(詳細は➡:イエベスト – 不動産投資・売却、住宅購入と会社選びをサポート、My Houmu
地上権と賃借権の違いは、地上権が物権であり譲渡・転貸が自由に行えるのに対し、賃借権は債権であり、譲渡・転貸には土地所有者の承諾が必要な点です。
参考サイト(詳細は➡:イエベスト – 不動産投資・売却、住宅購入と会社選びをサポート
地上権設定契約書の主な内容
地上権設定契約書には、以下の主要な内容が含まれます。
- 契約目的
契約の目的を明確に記載します。例えば、「乙の建物所有を目的とする」と記述されます。
例)水力発電所の施設の場合
本発電設備(取水設備、導水設備、水槽、圧力管路、発電設備、放水設備、その他の付属施設によって構成される水力発電所を意味する。以下同じ)の運営による発電事業(以下、本発電事業という。)および本発電事業に付随・関連する事業(以下、本発電事業という。)。。。 の様に記載する。
- 存続期間
地上権の存続期間を設定し、具体的な開始日と終了日を明示します。通常、数十年単位で設定されます。
例)FIT売電による、発電所の場合
・本契約日から売電終了日までの期間
※本契約日とは、契約書締結日。売電終了日とは、乙が甲に対し、”本発電設備にて発電した電力を電力会社に売却することが可能となった日”として通知した日(=売電開始日)から20年間が経過した日をいう。
また、存続期間は、延長前提での締結が望まれる。例)売電終了日の1年前から協議を行うが、内容が整わない場合は、有効期間を20年間延長する。
- 地代と費用
地上権者が支払う地代、権利金、敷金などの詳細を記載します。地代は経済状況や公租公課の変動に応じて改定できる場合があります。
例)売電開始日から売電終了日まで
年額〇〇円(1ヶ月満たない場合は、1ヶ月を30日として日割計算する。 - 地上権の消滅条件
地上権が消滅する条件を明確にします。例えば、地代の支払いが遅延した場合や地上権者が破産した場合などです。
例)関係法令の許可が契約締結しても尚、許可を取得することができなかった場合
・森林法による林地開発、都市計画法、土地利用事業に関わる条例に基づく許可または承認、道路法、河川法、砂防法など
送電設備と本発電設備の接続(系統連系)の見込みがないこと
電力の買取りが開始される見込みがないと判断されること
事業化できない場合 など - 登記と費用負担
地上権の登記を誰が行い、その費用を誰が負担するかを明確にします。地上権は物権であるため、登記が第三者に対抗するために重要です。
参考サイト(詳細は➡:文例書式ドットコム 、 司法書士タイムズ 、 My Houmu
特別条項
暴力団排除条項
契約当事者やその関係者が暴力団員等と関係を有しないことを確約する条項が含まれることがあります。この条項に違反した場合、契約を解除できるようになっています。
記載例)
- 甲および乙は、以下の条件に一切該当しないことを表明し、確約する:
- 暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、その他関連者ではないこと。
- 暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ、その他関連者ではないこと。
- 甲および乙は、以下の条件に一切該当する者と密接な関係を持たないことを表明し、確約する:
- 反社会的勢力等によって経営が支配されたり、実質的に関与されたり、資金提供や便宜供与などを行わないこと。
- 反社会的勢力等によって経営が支配されたり、実質的に関与されたり、資金提供や便宜供与などを行わないこと。
- 甲および乙は、以下の行為を一切行わないことを確約する:
- 暴力的な要求、法的責任を超えた不当な要求、脅迫や暴力を用いた取引、風説の流布や偽計による相手方の信用毀損や業務妨害など。
- 暴力的な要求、法的責任を超えた不当な要求、脅迫や暴力を用いた取引、風説の流布や偽計による相手方の信用毀損や業務妨害など。
- 前述の条件に違反した場合、甲または乙は催告なしで契約を解除できる。
また、解約によって生じた損害について賠償を請求できる。違反した方は解約に異議を申し立てず、損害賠償等の請求を行えない。
管轄合意条項
契約に関連する紛争が生じた場合の管轄裁判所を定める条項も含まれます。
参考サイト(詳細は➡:司法書士タイムズ 、 My Houmu
契約書の具体的な内容
地上権設定契約書には、以下の詳細が記載されます。
- 契約の目的と範囲
契約の目的を明確にし、地上権の範囲を定めます。 - 存続期間
地上権の存続期間を具体的に設定します。 - 地代およびその他の費用
地代の支払い方法、時期、金額を詳細に記載します。 - 増改築の条件
建物の増改築に関する条件や手続きを明記します。 - 地上権の消滅条件
地上権が消滅する条件と手続きを詳細に規定します。 - 注意事項
地上権設定契約書の作成には、契約内容を詳細に記載することが重要です。これにより、双方の権利義務を明確にし、後のトラブルを防ぐことができます。また、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
まとめ
地上権設定契約書は、地上権を正式に設定し、双方の権利義務を明確にするために不可欠です。契約内容を詳細に記載し、専門家のアドバイスを受けることで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。地上権設定契約書を作成する際には、注意深く内容を確認し、必要に応じて法律の専門家に相談すること重要です。