目次
はじめに
5月27日〜6月7日の期間において、再エネの業界には様々な動きかがありました。今回は、再エネの開発にフォーカスして、業界においてどのような動きがあったか見ていきます。
JERAの再生可能エネルギー判別サービスの開始
- 発表日:2024年5月27日
- 概要:発電最大手のJERAが、使った電気が再生可能エネルギー由来かどうかを判別するサービスを開始しました。これにより、企業が二酸化炭素(CO2)排出量を正確に把握できるようになり、グリーンウォッシュを防ぎ、風力や地熱の開発促進が期待されています。JERAは東京大学大学院と連携し、1時間単位で電力の流れを管理するシステムを開発。これにより、夜間に火力発電由来の電気を使用する企業の実際のCO2排出量をより正確に把握できます。東宝スタジオへの導入を皮切りに、国内外の企業へのサービス提供が進められます。
- スマートメータリング
スマートメーターはリアルタイムで電力の使用状況を記録します。このデータをもとに、どの時間帯にどの発電所から電力が供給されたかを追跡できます。 - 電力供給データの集約
発電所から電力会社に提供されるデータを集約し、再生可能エネルギーの発電量を特定します。これには風力、太陽光、地熱などの発電データが含まれます。 - ブロックチェーン技術の活用
電力の供給チェーンを透明かつ改ざん不可能にするために、ブロックチェーン技術が利用されることがあります。これにより、どの電力が再生可能エネルギー由来であるかを信頼性高く追跡できます。 - 保証書制度
再生可能エネルギー保証書(Renewable Energy Certificate, REC)やグリーン証書などが発行されます。これらの証書は、特定の発電所が再生可能エネルギーを使用して発電したことを証明するもので、電力購入者が再生可能エネルギーを使用したことを証明するために使用されます。 - リアルタイムデータ解析
高度なデータ解析技術を使用して、発電と消費のタイムスタンプを一致させ、1時間単位での電力の流れを追跡します。これにより、再生可能エネルギーが使用された時間帯を特定します。
- 参考サイト(詳細は➡:JERAが新サービスを発表
九州電力グループの再生可能エネルギー戦略
- 発表日:2024年5月28日
- 概要:九電みらいエナジー(福岡市)が主要再生可能エネルギー5電源(太陽光・風力・バイオマス・水力・地熱)をフルラインで持つ国内唯一の事業者となります。親会社の九州電力が地熱・水力発電事業を同社へ移管することで、再エネ電源の合計出力は約160万キロワットに拡大します。地熱・水力、バイオマスは昼夜や天候に左右されず安定した発電が可能であり、これらをベースロード電源と位置付けています。九州地方では半導体製造工場やデータセンターの需要が高まり、安定した再エネ供給が求められています。
- 参考サイト(詳細は➡:九電みらいエナジーが再編成を発表
ミツウロコグリーンエネルギーの札幌支店開設
- 発表日:2024年6月7日
- 概要:ミツウロコグループホールディングスの子会社ミツウロコグリーンエネルギー(東京・中央)が札幌に支店を開設しました。北海道内の法人や個人向けに電力を販売するほか、太陽光発電などの再生可能エネルギーの開発や、送電線と蓄電池を直接つないで充放電する系統用蓄電池の新規案件の開拓を行います。北広島市で2025年度末から26年度初めに系統用蓄電池の運転を開始する予定です。
- 参考サイト(詳細は➡:ミツウロコグリーンエネルギーが札幌支店の開設を発表
まとめ
5月27日の週と6月3日の週の卸電力市場に関する情報は、再生可能エネルギーの供給と管理の新しい取り組みが進展していることを示しています。JERAの新サービスによりCO2排出量の正確な把握が可能となり、企業の環境負荷軽減が期待されています。また、九電みらいエナジーの再エネ電源拡大は、安定した電力供給を確保するための重要な一歩です。さらに、ミツウロコグリーンエネルギーの札幌支店開設により、北海道内での再生可能エネルギーの普及が進むことが期待されます。