はじめに
電力市場の小売全面自由化以降、小売事業者と発電事業者には計画値と実績値の一致が求められるようになりました。これは、「計画値同時同量」として知られる制度であり、エネルギー供給の安定性と効率性を高めるための重要なステップです。
発電事業者も計画提出
電力市場の小売部分自由化以前、新電力には同時同量の義務が課されており、需要と供給の差を30分以内に±3%以内に収めることが求められていました。この実践は「実30分同時同量」として知られ、供給力が需要を3%以上下回る場合は、大手電力会社が自社の発電所出力を上げて不足分を補っていました。
しかし、2016年4月の小売全面自由化に伴い、同時同量制度は大幅に見直され、「計画値同時同量」へと移行しました。この新制度の下では、小売事業者のみならず発電事業者も計画した発電量と実際の発電量が一致するよう義務付けられ、電力の受渡し1時間前には計画値が確定されます。
この計画確定のタイミングで受け付ける計画変更が閉まることから「ゲートクローズ」と呼ばれ、ゲートクローズ後の需給バランスは送配電事業者が一元的に管理します。事前に確保している調整用電源に指令を出して需給の一致を図り、計画値と実績値のズレは事後的に評価されます。この制度変更は、新電力と大手電力との間で公平性を保つと共に、需給調整業務の透明性を向上させることを目指しています。
同時同量制度の見直し
2016年の小売全面自由化に伴い、同時同量制度は大きく見直されました。
新制度では、小売事業者だけでなく発電事業者も含めた全参加者が、供給と消費の一致を図ることが求められるようになりました。
この変更は、市場の効率化と公平性の向上を図るためのものです。
小売全面自由化後のインバランス調整
小売全面自由化後、発電量と消費量のミスマッチ、すなわちインバランスの調整がさらに重要になりました。
電力市場では、ゲートクローズ(計画値の最終確定時点)後の需給調整を、送配電事業者が一元的に管理します。
この過程で、計画値のズレを事後的に修正し、需給の安定を図ります。
まとめ
計画値同時同量制度は、電力市場の安定性を保つために不可欠であり、全面自由化が進んでからもその重要性は増しています。市場参加者はより高い透明性と効率性を求められる中で、新しい課題に対応していく必要があります。今後も技術進歩と制度改革がこの分野の発展を支えていくことでしょう。